短編

one table & two chairs 律 律とは別に、仲がよかった訳ではない。授業のグループワークとか以外では話したことがなかった。律と仲がよかったのは科子ぐらいで、他の子達とは全然、話しているところさえ見なかった。律は猫背で、よく隣りにいる科子は背が高…

向かう人々 2

1はこちら→向かう人々 1 - 無響サイレン 次の日は休みではないから休みでないときのいつもを過ごす。仕事場のトイレで昨日のことを思い出していた。でも自信がなかった。言葉を交わしていないだけでなぜこんなに自信がなくなるのだろう。あんなに近くに居…

向かう人々 1

手の内の文字を追っているうちに眠くなって自然にまぶたが下がり、開き、再び読み始めると、眠たいのに目をつぶる前まで読んでいたところは、ここは読んだとはっきりとわかる。読んでいた場所はすぐには探せないのに、文字を追うと読んだところとまだ読んで…

1階と3階

そこはもともと3階建てで、もちろん1階と2階と3階があった。今は2階がなくなって、とても高い天井というか吹き抜けな1階と元のままの3階があるだけだった。大ざっぱな工事でただ2階の床や柱を取り払っただけのようだった。それは、もうそこが日常的…

ささはら

箱に入っていた彼女の髪は早緑色だった。彼女に生えていたであろう根元の方を紺の糸できつく縛られていた。 「ちいさい頃は、クリームみたいな、ほとんど白の金髪だったの」彼女は言った。今の髪は濡れたような黒だった。 「毎年、春になって、道の木の葉が…