ささはら

箱に入っていた彼女の髪は早緑色だった。彼女に生えていたであろう根元の方を紺の糸できつく縛られていた。 「ちいさい頃は、クリームみたいな、ほとんど白の金髪だったの」彼女は言った。今の髪は濡れたような黒だった。 「毎年、春になって、道の木の葉が…

わたしたちの記憶を全て統合し世界を創りあげるものはいない、でもここはそのようにして創られている。世界は言葉でできている?世界は記憶でできている。誰かが欠ければその分なくなる。ここはひどく頼りなく見えるけれども、それは一つひとつがそうである…

ここでここで

自分の知ってることしかわからない/ 自分の過ごしてきた今までで、起こってきた、その、それまでの身を置いてきた世界と似通ったところで、その人は話しをしていた/ だからさ、そういうのが想像力が乏しいってことだよね、少し考えれば最低限調べてみなくち…

私と似ているあなたは、

私と似ているあなたは、と思っていたけれど違うところがたくさん見えてきてそこまで似ていないのかもしれない。でも考えの芯のようなものは、同じ、線の上にあると思う。好きなものが一緒であると急に分かったような気がするだけだ。 あの子の嫌いな人は、別…

日永一日

そのままにしておいて、目を瞑り、耳を塞げ 当たり前のことを言われたので腹が立つ、私は一人でいるくらいにはものを知っている これから恐いことがたくさん起こるから、私たちは、何も、見ないし聞かない 外の人たちはみんな、食べるものの心配をしている …

痛いことと怖いことは嫌いだから自分が死ぬ時のことは考えたくないけれど死んだ後のことを考えるのは楽しい。 ・うてなの上に丸っこい壺がのってふたの部分も蓮のつぼみになっている厨子甕をみた。あれらは骨をそのまま入れるのだから割と大きい。あれに入り…

好きなものは何度言っても構わない

たまにはここにも本のこととか書いてみます。前に書いたけど消した! 今年読んだ本でよかったもの ・『ノーライフキング』いとうせいこう ・『灯台へ』ヴァージニア・ウルフ ・『沈黙/アビシニアン』古川日出男 ・『プラトニック・プラネッツ』雪舟えま ・『…

その場で片足をつけたまま半回転する、と正面を向いた自分が立っていた、同じ方向にもう半回転して最初と同じ向きに直るとまた正面を向いた自分が立っていた、さっき現れた今私の後ろにいる自分はどうなっているのか気になって後ろを振り返る途中で多分、そ…

坂の街

上り坂と下り坂の数が違う街の話を聞いた、ある仕組み。 滅多に現れない下り坂をその人が通る時だけは絶対に出てきて、でもそこを通る人はそんなにいないからほとんどその人しか通らない坂になっている。 街には昔掘られた地下道があって今では入れないけれ…

ある質問

ある街には上り坂が5つ、下り坂が6つあります。 この話は合っているでしょうか、間違っているでしょうか。

ともかく、目にうつる何でもかんでもがはっきりとしてきて、普通ならピントの合わない視界の隅のほうにあるものまでちゃんと見えた。だから僕は自分の目の動きが他人からどんなふうに見えているのか心配になった。鏡をのぞいたり、他人の瞳の中をのぞいたり…

展覧会記録

2014年10月3〜7日 沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館にて 『輪郭線のない君からの合図を取り逃さないために』 ある人が「書いてあることは事実なのか」と尋ねてきたけれど、事実でも嘘でも好きなようにすればいいと思った。少し本当のことを書い…

砂上にて

十四年前に死んだ人が次の次の人に洗われている浜辺 指の骨 いっぽんきりで残されて地形をかたちづくる要素となる 白いうつわに入れられ、からだの一部 見たこともないような眩しさ ここでのおとむらいはかんたんなこと すべてがなくなるまでほうっておけば…

無意識に、取り入れた誰かの言葉を喋っている。 大体みんな勘違いしかしてないのに、よくもまぁ って 言い方が意地悪。

全方向

指示に従って進む 足下しか見ない 指示はいつも数歩先に現れる 現れる指示を見逃さないため後ろを振り返る間がない 指示はそのままなのか消えていくのか知らない これがどこに私を案内しているのか知らない これは自分を案内するためのものなのかもわからな…

砂漠

瓦礫から漢字を見つけた 自分の名前の文字だった。 ものの形と音が一緒になったものは珍しいのではないかと思った。

みんなが気に留めないことを疑問に思う彼女はかわいい みんなが気に留めないことを疑問に思う彼女は鬱陶しい 全てを初めて見るように彼女は見る いつか目が焼ける 鬱陶しい

最初

わたしもみんなも忘れてる、誰かの中にあるわたしの言葉よ 一人歩きしなさい

君がいる街に一番近い駅のひとつ前で降りて、今動いているかわからない工場の周りをうろついていると、踏切にぶつかった。 それは工場内に続く線路の踏切で、嫌な予感しかしなかった。しかし方法は踏切を渡るしかなかった。駅まで帰るために来た道を引き返そ…

ずっと気になっていることがあってそれはもしかすると自分以外の人には当たり前のことなのかもしれなくてそう思うとその疑問のような気がかりを口に出すのがはばかられるのであんまり気にすることをやめたのですがでもどこかに自分と同じ気がかりを持ってい…

練習

判読できない文字 紙を二回折ってつくる直角 遠くのかすかに全体が動いている山 すべての木が細かく振動して 紙の目を見る 湿気で色が消えるペン 歩道橋の階段のすぐ隣にあるそば屋 階段の上の通路が円形になっている歩道橋 立体交差 フェンスと生け垣ではさ…

体言止め多用メモ レッツ反駁独我論

嫌いな言葉でもきえない

雨が垂直に降っているから窓を開けても大丈夫なのだろう 霧のように降る雨はここからでは白くみえるが

雨の中どこにも停まらず飛びつづける蝶 同じルートをいつまでもたどる 時々、羽を雨粒にうたれたのか急にルートをはずれ下降する それでもまたルート通りに飛ぼうとする その前で雨にうたれる鳩二羽 白いフェンスにつかまって片方は距離をちぢめようとする、…

桟橋からのびる波がないところ 音だけ聞こえるけれど何をやっているかは見えないイベントから聞こえる歌声(右側)が左側の防波堤に反射して左側で人が歌っているように聞こえる 反射音の方が小さい音まで聞こえるが右の声と左の声は多少のずれがあるはずな…

水色の軽いオールでこぐ舟 一番後ろの人だけが舵をとればいい 海の上は涼しい、波は微かな港 澄んだ水はコンクリートの岸壁の水の中まで透き通らせ 生き物はいない

手に表紙に押された箔がつく、後ろの窓からの光が移って 先の丸い指に移って

藤色のあつい本の表紙を裸の足の指でなでる

今日あなたが履いている靴を当ててみせる電話 鞄に入れっぱなしになっている1年前のDM レンジにかけたのに忘れて冷めた 標識が見れない 知らないうちになくなる古い点字ブロック 使わないのに机に置きっぱなしの蜂蜜 針蜜 紫雲 切手しか入ってない封筒 それ…