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君がいる街に一番近い駅のひとつ前で降りて、今動いているかわからない工場の周りをうろついていると、踏切にぶつかった。

それは工場内に続く線路の踏切で、嫌な予感しかしなかった。しかし方法は踏切を渡るしかなかった。駅まで帰るために来た道を引き返そうとしても、結局この踏切の前にたどり着いてしまうのだ。

踏切は押しボタン式で、踏切のある所からほんの2、30メートル先に工場の扉があって、その扉はもちろん閉まっていたから、その先の線路が工場の中まで続いているかはわからなかった。

押しボタンなど押さなくても列車は来ない、来るとしたら扉は開くはずだ。踏切のバーをくぐろうとした瞬間右から、見たこともないぐらいコンテナを繋げて長くなった列車が近づいてきた。いつの間に近づいてきたのか、列車はほとんど音を立てず走ってきている、すぐさま扉を開けなくてはいけないと思い僕は扉に向かって思い切り走った、走りながら扉の開け方がわからないと思った。あの扉は鍵穴がない、横に滑らせるのか、それとも上に引き上げるのか、そんな馬鹿な、それだと誰かが支えていないとすぐ扉が閉まることになる、つなぎ目が見えないだけで観音開きになるのか、ところであの重そうな扉はほんとうに開くのか?あれは何でできているのだろう、あんなに見た目が重そうな素材はなんであろう、もしかすると開けないのが正しいのかもしれない、列車をあの扉に激突させるのが目的なのかもしれない、激突させ、貨物を引く機関車を粉々にして列車の動きを止め貨物の部分だけ無事であればいいのかもしれない、わからないまま、走った、とりあえず扉の前にたどり着かなければ、そうすれば僕がどうしたらよいかがわかる、そう思った、けれど列車は思いの他速度が速く、僕が扉にたどり着くのが早いか、列車が僕に追い付くのが早いか、わからなくなってきた。