読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

西暦2356年のゆり

みんなのゆり

急にあのアニメのあの回のことを思い出しそわそわしたので書きます。

 

タイトルで察しのいい人は気付かれると思います。はい、『宇宙のステルヴィア』です。そしてもちろん、第19話「なきんぼ おこりんぼ」です。

ステルヴィア』をご存じない方のため、まずはイントロダクションを。

第1話のオープニング前に主人公、しーぽんこと片瀬志麻の声で語られます。

 

これは今から189年前のお話です
みずへび座β星 ハイドラスβの超新星爆発
20光年離れた地球にも大きな被害をもたらしました
ガスに包まれた緑の宇宙 それが私の知っている宇宙の色です
でも私は見てみたい 昔の人々が地球から見上げることの出来た宇宙の色
だから私はステルヴィアに行きます
今は西暦2356年

 

時は西暦2356年 宇宙ステーションの一つであるステルヴィアの中の学園が舞台です。この学園はオーバビスマシンという一種の宇宙船の操縦訓練をする場であります。

こう書いてしまうと敵が出てきて戦う系か〜と思いがちですが、このアニメ、最終話まで敵と憎み合って戦うような戦闘シーンが出てきません。作中で「せんそうって?」とアリサが尋ねるシーンがあるように、学園の生徒達は「戦争」という言葉さえ知らないのです。

立ち向かうべき対象ははっきりと提示され、それに向けて物語は進んでいくのですが、その対象は憎しみや怒りといった感情を持ったものではありません。200年前から起こることが決まっていた自然現象であるのです。

そんなので物語が面白くなるのか?と普通思うのですが、これがすこぶる面白い。武装できるロボット=戦闘用という図式を軽やかに壊す、ここにこの作品の心髄があると思います。

 

以下、本編視聴を前提として話を進めていきますのでネタバレあります。

 

 

 

 

さて、前項までこの作品の「戦い」の不在について述べました。グレートミッションやジェネシスミッションは、協力して立ち向かわなければ人類の存続が危ぶまれるレヴェルの出来事で、その間人類間で戦いなどしている場合ではない状況でした。しかし、その二つが終わり最終回を迎えた時にふと思ったのは「次は人類同士で戦うだろうな、」ということでした。経ち消えになってしまった2期の草稿はファウンデーション間の争いであったと思います。

 

本題に移ります。「なきんぼ おこりんぼ」です。

タイトル通り女子メンバー4人(しーぽん、アリサ、弥生、晶)がすれちがって怒ってケンカして号泣して仲直りするお話です。

しーぽんとアリサがケンカして、弥生ちゃんとしーぽんもケンカして、晶とアリサもケンカして、という非常にめんどくさいことになるのですが、

アリサは基本的にしーぽんのことを心配するあまりに、本人や晶に強く当たります。

一方、問題の張本人のしーぽんは、自分の気持ちなんて誰にも分かってもらえないと塞ぎ込み、弥生やアリサをつっぱねるのです。

 

しーぽんの台詞の

「アリサも光太くんも弥生ちゃんも晶ちゃんもみんな私じゃないもん!分かる訳ないよ!」や

「私だけひとりぽっちだもん!」

という台詞からは、自分の苦しみは他人には分からない自分だけの持ち物なんだというしーぽんの考えが伺えます。

同様の図式が『中卒労働者から始める高校生活』佐々木ミノル(NICHIBUN COMICS)の第2巻終盤でも繰り広げられます。

ここでは主人公の片桐真実が中卒である自分のことに関して

「この程度で自分を可哀想がっておかしいか!?」

「散っ々言われて来てんだよ 「もっと不幸な人間いっぱいいるんだから」って!!」

「これは俺の苦しみだ俺の持ち物だ!持ってねえ奴がごちゃごちゃうるせぇよ!!」

と吐露する場面があります。しーぽんも真実も自分のことを理解してくれる人はいないと決めつけてしまいます。色々こじらせてる身としてはこういう気持ち、わかる…と思ってしまうのですが…

実際には彼女彼らを心配して歩み寄ろうとしてくれるしーぽんには4人の友人達が、真実には工場のおやじさんと莉央が、いることに気付いていない/目をそらしている状況が生み出す言葉なのだと思います。

 

そんな愛すべきヘタレしーぽんを心配する友人が考えることは皆同じで、やっぱりもうすぐ無くなりそうな「こんぺいとう」のことですね。

口で言い合っても、クッション投げ合っても、お互い「何でわたしの言ってることが分かんないの!」と主張するだけで埒があかない。おそらく本人達も仲直りしたいけどその仕方が分からなくて、さらにイライラする状況が作り出されてしまう。

そこで、こんぺいとうをきっかけにしーぽんが泣いて、とにかくみんながみんな仲直りしたくてお嬢でさえ晶でさえ泣いてしまうあの場面は、どうしようもなくて言葉でも他の何かでも示すことのできない、なんだか泣いてしまうしかない状況ってあるよねというようなシーンだと思います。

アリサの「私だけなの 友達だと思ってたのは!?」はなんともアリサらしいな…と。

ここでしーぽんとアリサの大安売りでない友情関係(笑)がしっかりと築き上げられることで最終回のあの感動のピーターパンが楽しめる訳ですね。

 

この19話のよいところは、仲直りした翌日の、もーすっかり元通りというかそれ以上になった4人の絡みがなんとも可愛いです。みんながみんな、一緒に居たがっている。いい百合だよなぁというところで終わります。

 

 

 

追記

ステルヴィア内カップルで最高なのはジョジョと晶ちゃんだと思うのですが!!!!